発達障害の子育てのポイント

発達障害の特性を理解して
効果的な指導を行うことが
子育ての負担を減らすカギとなります。
ここではADHDの場合を主に紹介しますが
自閉症のお子さんについても
当てはまる場合が多いので
参考にしてみてください。

 

ADHDの子育てのポイント

発達障害児の子育てのポイントは
出来ないことを叱るより
出来る事を褒めてあげる

発達障害のお子さんの場合、
特定の勉強が苦手であったり、
自分の行動を制御でいない場合が多く、
周りの大人に叱られる場面が多くなってしまうため
自尊心が傷つき、二次障害を引き起こす場合があります。

 

発達障害のお子さんは
できないこと に目が向きがちですが、
できないことより、できることを見つける
という接し方をすることで
お子さんの自尊心を守り、
今後の成長によい影響を与えやすくなると言われています。

 

特に人数の多いADHDのお子さんへの
指導の方法として以下のようなものがあります。

 

時間を決めて集中する

ADHDのお子さんは長い時間、集中することが苦手です。
最初からキチンと集中させるよりも
短い時間の中で集中するトレーニングをしていくと良いです。

 

最初は10分〜15分くらいの集中を目指します。
またその際は時計やその他、気の散るもの は
お子さんの周りに置かないようにしましょう。

 

子育てのポイントは
周りの大人も参加することです。

 

お子さんが集中する時間を
あなたが計ってあげる、気が散るような活動をしない など
お子さんと一緒に取り組む姿勢が大切です。

 

間違っても
お子さんが勉強している横でテレビを観るのは
絶対にやめましょう。

 

シンプルな言葉で指示をする

お子さんに何かを指示するとき、
つい抽象的な言葉を使ってしまいがちです。

 

例えば、
ちゃんと勉強しなさい とか
お母さんのお手伝いをしなさい
という言葉を使ってはいないでしょうか?

 

発達障害のお子さんは
ちゃんと や 勉強、手伝い、おりこうに など
具体的な言葉がない指示をされると
混乱してしまう場合が多いです。

 

例えば宿題をさせたいのなら、
今日の宿題を終わらせなさい とか
お母さんの代わりにお皿を洗って、
イスに座って手をヒザの上に置きなさい など
できるだけ具体的な言葉を使うと
お子さんも理解しやすくなります。

 

言葉より絵で指示する

発達障害のお子さんは
視覚的(目からの)情報の方が理解しやすい場合があります。

 

例えば床のお掃除を手伝ってもらいたい時は
掃除機やぞうきんの絵のカードを見せながら
指示をすると理解しやすくなります。

 

またお子さんによっては
物事の優先順位を付けるのが苦手
(掃除機をかける前に雑巾がけしてしまう など)
な場合もあるので
出来るだけ作業を細かく分け、
絵でやるべき順番を指示してあげると良いです。

 

また忘れ物が多いなどの場合も
教科書、文房具、宿題 など
用意するものをカードにして
毎朝学校に行く前にチェックさせるのも効果的です。

 

ADHDの子育ての注意点

ADHDのお子さんたちは
自分の行動を制御し、
他人に合わせることが苦手です。
しかしトレーニングを積むことによって
徐々に適応できるようになる場合も多々あります。
大切な事は
今、何をするべきなのか
ひとつひとつの場面でキチンと教えることです。

強制や体罰はNG

発達障害のお子さんは
自己コントロールが苦手です。

 

問題となる行動をしたときに
怒鳴ったり、何かを強制することは
逆効果になります。

 

大切なのは
どれだけ自分をコントロールできるかです。

 

もし問題行動を起こしたら、むやみに叱るのではなく、
どうしてそのような行動をするのか と
子どもを理解しようとすることと
少しずつ正しい行動を教えていくことです。

 

最初は難しいかもしれませんが、
少しでもできたことを褒めていくことで
「できた」という達成感が
お子さんに良い自己評価を与えることになり、
新しい事を学習する意欲が増していきます。

 

興奮したら淡々と接する

いきなりお子さんが
衝動的な行動をしだすと
私たちの方も慌てて対応してしまいがちです。

 

しかしお子さんの衝動的な行動に
大人までも興奮してしまうとまさに火に油状態です。

 

お子さんが興奮しだしたら一度冷静になって低い声で
「はい」「いいえ」「それで」など
淡々とした言い方で接した方が
お子さんの興奮も収まっていきます。

 

間違ってもこちらも一緒になって
興奮して怒り出すような事が無いように
あらかじめイメージトレーニングしておくと効果的です。

 

忘れてはならないのは
親子関係に関わらず、人間関係において
相手をコントロールする事は
ほとんど不可能だということです。

 

あなたがコントロールできるのはあなた自身だけです。

 

相手がどのようになる(お子さんが落ち着くか興奮する)かは
あなたがコントロールできることではないのです。

 

お子さんが興奮したら
まずは自分自身を落ち着かせて
冷静に対応することで
お子さんの興奮も収まってきます。

 

いつも同じ指導を心がける

お子さんが突然興奮しだすと
その場しのぎの方法として
物を与えるなど
「甘やかし」をしてしまうことがあります。

 

障害を持つお子さんは
複雑な状況を理解できない場合が多いので、
例えば
かんしゃくを起こしたらお菓子がもらえた など
悪い事をしたら良い事が起こるというように覚えてしまい
正しい行動を学習させることが難しくなってしまいます。

 

また逆も同じで例えば
宿題をしたのに(答えが間違っているなどで)怒られた など
良い事をしたのに悪い結果になるというようなことも避けなければなりません。

 

宿題をしたらまずはその行為を褒めてあげて
その後で答え合わせや片付けを指示するようにしましょう。

 

反抗的な態度をとってきたら

発達障害のお子さんは感情的になりやすく
「キライ」「ウルサイ」などキツイ言葉使いや行動をしちです。

 

しかしこのようなお子さんの行動は

 

>障害のために起こる行動であり、
あなたに反抗している訳ではない

 

ということを納得しておいてください。

 

興奮したお子さんに対して
こちらも強い言葉で叱責するのは逆効果ですが、
叱らないけど、譲らない という
冷静な姿勢がお子さんの学習の上で重要になってきます。

 

冷静に、ダメな事はダメと譲らない毅然とした対応ができるようにも
私たちもイメージトレーニングをするなど
お子さんと一緒に成長していく心構えをもちましょう。

 

このページは

尾崎洋一 池田英俊 錦戸恵子 草野和子 著

ADHD及びその周辺の子どもたち

を参考にさせていただきました。