発達障害の子育てに必要な知識とは
最近ではよく耳にする発達障害という言葉ですが、
ひとことに発達障害といっても様々な種類があり、
お子さんへの対応も違ってきます。
まずは発達障害の分類と特徴を理解することが
適切な子育て・療育につながります。
発達障害の分類について
日本における発達障害の認定には主に
アメリカ精神医学会(American Psychiatric Association ; APA)が発行している
「精神障害の診断と統計マニュアル」(DSM)というものが広く参考にされています。
DSMは時代に合わせて更新されており、
教員時代に学んだDSM-Wと現在のDSM−5では
発達障害の分類などに違いが出てきています。
科学が年々進歩するように
発達障害についての研究も進化し続けるため
医師や精神科医などの専門家による
高度な知識と治療が必要です。
ここでは、文部科学省のHPを参考にして、
学校現場における
発達障害の定義について考えていきたいと思います。
文部科学省HPの特別支援教育の項目の中に
発達障害の定義について載っています
(文科省における発達障害の定義について)
文部科学省のHPによると
主な発達障害は以下のように定義されます。
自閉症 |
自閉症とは、3歳位までに現れ
などを特徴とする行動の障害であり |
---|---|
高機能自閉症 |
高機能自閉症とは、3歳位までに現れ、
などを特徴とする障害である自閉症のうち、 |
学習障害
(LD) |
学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、 |
注意欠陥/
多動性障害 |
ADHDとは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、 |
発達障害はどこに相談すればいいの?
最近では発達障害という言葉がとても身近なものになり、
メディアでも様々に取り上げられるようになってきました。
しかし病名や抽象的なイメージだけが先行してしまい、
いざ自分の子供が発達障害ではないかと不安に思ったとき、
何処に相談すればよいのかわからないお母様も多いと思います。
ココでは一般的な受診の流れについて説明していきます
相談
お子さんの発達に不安や疑問を抱いた場合、
お子さんの年齢に応じて以下の機関に相談するのが良いと思います
●お子さんが乳幼児の場合
乳児検診を行っている自治体の期間に連絡すると良いと思います。
保健センター、保健所、発達センターなど
地域によって呼び方が変わってきますので、
市役所や区役所などに相談することをおすすめします。
お子さんの検診の記録もあり
保健師さんが相談にのってくれることもあります。
●幼稚園、保育園、学校など集団生活に入っている場合
各自治体の教育相談所(教育センター)が発達についての相談窓口を設置しています。
相談先がわからない場合は
各市町村の役所に問い合わせれば対応する窓口を教えてくれるはずです。
各自治体や制度の見直しなどによって
相談カ所や名称が変わってくる場合があります。
不安がある場合はとりあえず
お住まいの地域の役所の受付で相談してみるといいと思います。
発達障害の診断が確定するまで
発達障害を疑われる場合、
すぐには結論を出せない場合もあります。
そのような時は
「しばらく様子を見ましょう」という
(様子見)を提案されることがあるようです。
自治体によっては
障害を疑われる似たような子たちが集まる集団で
遊びや作業をさせることで
その子の弱い部分の発達を促すという
『親子教室』などを行っている地域もあるようです。
医師による診断でも1回や2回など
すぐに発達障害と診断できるようではないようです。
通常は初診から2〜3カ月程度を要し、
1〜2週間に1度程度の通院も必要なようです。
また発達障害を受診できる医療機関も限定されているため
予約が取りにくいという問題もあるようです。
特に我が子に発達障害の疑いがあるとわかった時は
大人も動揺しやすいというお話も聞いています。
自分一人で解決しようとするのではなく、
まずは身近な自治体の機関に相談するのがベストだと思います。
療育
療育という言葉を知っているでしょうか?
療育とは発達支援とも言われていて、
発達障害のお子さんの弱い部分を伸ばし、
将来の自立と社会参加を目指すための教育です。
また療育には二次障害を防ぐためにも大きな意味を持っています。
二次障害とは特に自閉スペクトラム症のお子さんが
その特性から周りとのコミュニケーションが上手くいかず、
過度に叱られたり、友達関係が上手くいかない、
勉強についていけないなどで過剰な心的負担を受け、
身体症状(頭痛、腹痛、チックなど)
精神症状(不安、うつ、過剰な興奮など)
を生じてしまい、不登校や引きこもり、暴力などに発展してしまうことです。
発達障害は一見ではわからないケースも多々あり、
周囲の理解、特に離れて暮らす親戚や祖父母に
理解してもらうのが難しい場合もあります。
発達障害の可能性のあるお子さんへの対応で大切なことは
できるだけ早くお子さんの特性に気づき、
その子に合った環境を整えてあげることが
二次障害を最小限に防ぐことにつながります。
療育のための施設では専門の資格をもったスタッフが対応してくれる場合も多いので
早めに自治体を始め、専門機関へご相談するのが良いと思います。
就園・就学
保育園・幼稚園などで集団生活を送る場合、
発達障害が疑われるお子さんへの対応が異なってくる場合があります。
私の知り合いが務めいている保育所では
一定の期間で資格を持った先生が市内の保育所などをまわっているようですが、
自治体や運営(私立、公立)などによって変わってくると思いますので、
園選びは慎重に行った方が良いと言われています。
また最近では保育士さんの間でも発達障害に対する理解がより広がり、
場合によっては教育センターなどで検診を受けることを勧められる場合もあるようです。
もし検診を勧められた場合、
その事実を受け入れることは難しいかもしれませんが、
早期の療育は後々の子育てにも影響をしてきますので、
できるだけ現場の先生のアドバイスに従って検診を受けた方が良いと思います。
小学校・中学校に関しては
障害の程度により以下のような選択肢があります
普通学級
いわゆる普通の教室で他の生徒と一緒に学ぶことです。
多くの事を学ぶことができますが、
個別の支援については難しい現状で、
思わぬトラブルや二次障害を引き起こす可能性もあると思います。
学校という組織は中々変化をしにくい組織であるともいえるため、
全ての先生が発達障害に理解があるとも限りません。
お子さんの障害の程度と学校の教育環境をしっかり吟味し、
担任の先生や関係者の方と綿密な打ち合わせが必要であると思います。
通級指導学級
普通学級・特別支援学級のいずれかに籍を置き、
お子さんの特性に合わせて双方を行き来して授業を受ける教室です。
自治体や学校によって
週に何時間通うか変わってきます。
その子の特性に合わせた柔軟な対応が可能ですが、
地域や学校間で取り組みが異なってきますので、
お子さんの特性に合った学習ができるよう
先生などとしっかり相談をしてください。
特別支援学級
支援級、なかよし学級などで呼ばれる場合が多いです。
基本的には少人数のクラスで学習を行い、
生徒の特性に合った独自の教材や
カリキュラムが使用されます。
またホームルームや給食の時間、
得意な科目や音楽、体育の授業を
通常学級で受けることができる場合もあります。
制度の上では一人ひとりにきめ細かな対応ができるのが
特別支援学級ですが、これについても
地域や学校間で程度の差があるため、
先生方と相談した上で
お子さん適した学習方法jを考えていく必要があると思います。
特別支援学校
特別支援学校は旧養護学校のことで、
一般の学校とは異なり、
特別支援教育の理念に則って運営されています。
通常の読み書き、計算といった授業も行いますが、
生徒の特性に合わせて、
障害による学習上、生活上の困難を克服し、
自立に必要な知識・技能の取得を目的としています。
また、先生についても
通常の教員免許に合わせて特別支援学校の教員免許も取得しているため、
発達障害のみならず様々な障害者教育についての
知識と技術を有しています。
小学校入学前には、就学相談会や就学判定などを
ほとんどの地域で実施しているので、
専門の先生に積極的に相談し利用してください。
お子さんの進路はとても重要なことですので、
専門家に相談するのはもちろん、
ご自身もお子さんとご一緒に施設見学などに
積極的に参加すると良いと思います。